夏の緑肥、クロタラリア

植物まわり
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自然農をはじめるにあたってまず最初に育てた植物は、クロタラリアでした。クロタラリア?と聞き慣れない人が多いと思いますが、これは作物ではなく「緑肥」と呼ばれるものです。緑肥というのは育てることによって土の状態をよくする植物のことを言います。借りることのできた畑は、雑草が生えてくるたびにトラクターで掘り起こされ、かき回されていたために、土の状態が良くはないだろうと考えたからです。

土をかき回すとふかふかになって良いのでは?と思う方もいるかもしれませんが、実はそうとも限りません。そもそも良い状態でふかふかの土は、掻き回したからそうなっているのではありません。腐植質を多く含むことによりそれが植物や生き物の栄養となり、たくさんの植物が根を伸ばしたり多様な微生物・生物が活動することによって、土中に隙間が生まれ排水性・保水性・通気性が良くなり、ふかふかな土になるのです。

とこの辺りは僕もまだまだ知識不足なところですし、経験で分かった部分も少ないので、また別の機会に深く掘り下げたいと思いますが、今回はそんな土の状態を良くしてくれる 植物=緑肥 の一つであるクロタラリアについて、その成長記録と作用について考察してまとめました。

クロタラリアとはどんな植物でどんな効果があるの?

  1. マメ科の植物なので、空気中の窒素を固定する
  2. 直根性の根っこが深く伸びるため、土の硬い部分を突き抜けていくことで土を柔らかくする
  3. 植物に寄生し被害をもたらすセンチュウの嫌がる物質を出すので予防効果がある
  4. 草丈は1m〜2mの高さになり、防草効果もあるし、刈って土中に漉き込むことで肥料分を供給する

それぞれ詳しく解説してみます。

1.マメ科の植物は、植物の肥料になる窒素を空気中から土中へ固定化する

マメ科の植物っていうのはちょっと特殊で、育つの必須である窒素分をほとんど必要としません(例外はあるようです)。なぜかというと、マメ科の根っこある根粒という場所に、根粒菌という菌が住み着いていて、彼らが空気中の窒素を植物が吸収しやすい状態(窒素化合物)に変えてくれるからです。

この一連の流れを窒素固定と言い、このマメ科と根粒菌の共生関係がどうして生じるのかはよくわかっていないようなのですが、

  • 根粒菌はもともと土中にいる
  • ある種のマメ科の植物にはある種の根粒菌しか共生しない
  • 根粒菌の住み着く根粒は、根粒菌が根っこに侵入してできるもの

なんて事はわかっているようです。

2.根が土中の硬くなってしまったところまで伸び破壊してくれる

畑によっては土が柔らかなのは表層部分だけで、少し深い部分は硬くなってしまっている場合があります。クロタラリアは直根性の根をまっすぐ深く力強く伸ばすため、この固いそうに到達するとそれを突き破るかのように伸び、破壊し、柔らかくする効果があるようです。

3.センチュウ予防

クロタラリアはセンチュウが嫌う物質を分泌するために、様々な被害をもたらすセンチュウの繁殖を抑え、被害を防ぐ効果があるようです。

4.高く伸びる丈を刈って漉き込めば、さらに肥料分を増やせる

最初に注意点。草刈りとすき込みは草が硬くなる前、花が咲く前ぐらいまでに終えることが大事です。なぜなら、あまり育ちすぎるとしっかり固くなってしまい、分解しにくくなってしまうからです。

刈り込んで土中に漉き込めば、さらに土中に肥料分を加えることができます。また、土中に漉き込むことで、土の中にたっぷりと空気を含ませることができます。そうすると、微生物の活動も活発になり、漉き込まれた草の分解も促進され、土の状態がどんどんと良くなっていきます。

ただし分解には時間がかかるので、すき込んでから1ヶ月程度以上は作付けは控えた方が良いそうです。

ちなみに当農園では、すき込みません。刈ったらそのまま表面に載せておくだけです。これは、不耕起という自然農の原則に従うということもありますが、単純に土を大きくかき回すと土中の環境が劇的に変化してしまうわけで、じっくりと土の環境を作るには適さないと考えるからです。

それでは成長記録をご覧ください。短いです。

成長記録

2021年6月30日、種を撒く

種は近所のホームセンターにも、農家のコンビニと言われるところでも売っておらず通販で購入しました。しかもamazonです。

種は意外と大きく2〜3mmほどの大きさなので撒きやすいです。色は農薬だと思いますが白く粉っぽくなっています。軍手してた手で、土俵入りの力士が撒く塩のように全体に撒きました。

全体に撒きます

撒いた後はしっかり覆土するのが基本でしょうが、足で適当に土を被せて終わりです。畑の広さに対して種の量が多かったので、発芽不良が多くてもいいかなという考えもあって。

白っぽいのが種です

2021年7月14日、当然すでに発芽していました

わんさか芽が出ています。

この畑、場所によっては水はけが悪く、泥がたまったような状態になっています。これが改善すると良いのですが。

2021年7月28日

成長早いです。50cm前後といった感じでしょうか。

2021年8月22日、もう刈りました

前回から1ヶ月経たないくらいですが、やばいですね、成長速度。150cmは優に超えています。ですが場所によって草丈に結構な差が出ています。120cm〜200cmといった感じでしょうか。

もさもさ
120cm〜200cmといった感じでしょうか

そしてもう少し成長を待っても良いのでしょうが、この時点で刈り込むことに決めました。というのも

  • 長速度が早いので、気づいた時には大きく固くなってしまっているかもしれない
  • 思った時が刈り時

ということで、1日経つだけでかなり伸びそうですし、成長し強く固くなって分解されにくくなりそうだったので、サクッとやってしまうことにしました。一般的には花が咲く前くらいが目安らしいです。

刈った後が大事です。この畑では、った草は漉き込まず、表面にそのまま放置します。これが重要。一般的には、緑肥作物を育て刈った後は、トラクターなどで土と混ぜ合わせてしまうのですが、それをやりません。なぜか?

土を耕すという事は、土中の環境を一変させてしまう行為なので、安定した環境づくりには相反する行動だからです。今ある環境が全くダメでないのならば、そこからじっくりと少しづつ、良い方向へ変えていけばいい、そいうことから、刈った草はそのまま表面に敷き、自然の分解に任せてしまう。。。。

というのは、まあ、もちろんあるのですが、漉き込むという作業をしない方が楽だからというのがいちばんの理由です。楽っていうのはちょっと違うかもしれないかなあ、なんていうか”身の丈”ていう感じがします。身の丈のことで収めるから楽だし、目に見えない変なことも起きにくいだろうし、まあそんな感じです。

2021年9月15日、草刈り

刈ったクロタラリアはすっかり枯れ草になって、土を覆って雑草防止の役割も担ってくれているようですが、発芽が遅かった組なのか、株は少ないですが小さいサイズで残っているものがあります。また、クロタラリアを刈った後から雑草が伸びてきたので、合わせて草刈りしました。

それほど伸びていなかったのですが、大きくさせるとこの畑の貸主が不満げな小言を言ってくるのでさくっと。画像中央に草刈機があって、手前からその辺りまでは刈り済みですが、違いがあまりわかりませんね。

刈った後ですが、高めに残っています

2021年9月22日、クロタラリアの次はヘアリーベッチ

畑はこんな状態になりました。見た目では土の状態がどう変わったのかわかりませんが、表面に草があって良いですね。混ぜて土があらわになった感じ、苦手なんですよね、埃っぽいというか、砂漠感というか。

この後、暑さが落ち着いたらブルーベリーを植え付ける予定ですが、同時に次の緑肥「ヘアリーベッチ」の種まきをしようと思っています。