古いモチノキと付き合う(どのように剪定していくか)

樹木類
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追記:2018年5月の写真が出てきたので追加アップしました(2021年10月追加)

うちの庭には樹高4mくらい、樹齢50年ほどのモチノキ があります。庭の真ん中に、どでんと大きく、しかしどうしてか若干斜めに、鎮座しています。そんなモチノキ ですが、私がここやまね農園に来た当初は玉散らしというのでしょうか、そんな姿をしていました。剪定は透かし剪定ではなく、切り戻し剪定がされていたようで、葉が密にしげり、黒い斑点が目立ち、どうやら病気がちなようでした。

また、樹齢が50年以上はあるということで、樹高も高く、ちょっと存在感が強すぎて、なんだかこの庭には馴染まないような気がしました。

そこで、この庭の中心にいてはるモチノキ を、これからの時代に合うようにコーディネートするかのように少しずつ、といっても強剪定をすることにしました。「根本から切ってしまった方が良いでしょう」なんて強く思っていた時期もありましたが、この土地でずっと長く生きてきた樹なので、これからも一緒に長く過ごせるように、というのがこの剪定のコンセプトでもあります。

既に2020年の春と秋の二回に分けて強めの剪定はしているのですが、その時の画像はありません。なので、その時の剪定については現在の画像を織り交ぜながら、どんなふうに剪定したのか解説していきたいと思います。

モチノキ について

  • 東北以南に自生
  • 常緑樹
  • 樹高は5m程度
  • 幼木は耐寒性が弱いので霜等に気をつける、成木は耐寒性強い
  • 耐暑性は強い
  • 雌雄異株なので雄花と雌花は別の木につく

とまあこんな感じで、丈夫で簡単に育つ庭木のようです。

2018年5月の様子

後から見つけた画像なので、画角がだいぶ違いますが、その時の様子を。2021年10月に、似た画角からの現在の様子をアップしますしました。

これは、玉散らし風に選定されたものが放置され、伸びてしまった後の状態です。下に玉散らし選定の参考画像がありますが、それが放置されるとこうなると思って良いと思います。つまり

2020年にやった剪定

それまでの仕立て、玉散らしについて

玉散らしとはこんな次の画像のような感じの仕立て方。この画像はうちのではないのと、樹木も違うので、少し異なりますが、このように枝の先端に丸く葉を残すボンボンを作るような仕立て方です。

玉散らしのイメージ

こういう剪定って、しっかり管理している庭園と呼べるくらいの綺麗な庭なら良さそうなのですが、うちの庭は手入れもまちまち、片付けも綺麗にできておらず、そんな中でこんな丸く綺麗に刈りそろえられた樹木は、相応しくないのです。

うちで暮らしている人間の性質から考えると、あくまでずぼらで、よく言えばナチュラルな、そんな庭にしないとうまく馴染まないですし、そもそも管理できないのです。

まずは一回り小さくする

もう一度2018年の様子から。

こんな状態でした。

うちにあるモチノキ は樹齢が50年以上あります。ということで、どのように世話をしてきたのか分かりませんが、少し大きすぎるのです。ちょうど自宅の車が通る場所なのですが、太い枝を伸びるままに玉散らしにしてあるので、邪魔なのです。その邪魔をなくすことが、まず一つ目の目標です。

画像の水色のラインのところを車が行き来するのですが、大きくなったモチノキ の枝がその幅を狭めていました。なので、オレンジラインくらいの、地上の石垣部分から外に対して枝葉がはみ出さない程度に剪定しました。それに合わせて全体的に形を整えました。

上記の画像は2021年の2月ですが、かなり初夏頃にかなり強い剪定をしたせいか、スカスカな状態のまま冬を迎えることになってしまいました。

樹形を自然な形に変え、その上で透かし剪定で世話をする

玉散らしな形では、しっかりとした形を作ることが前提になります。するとどういうことが起きるかというと、しっかりした玉の形はそれだけ葉が密であることが求められ、葉が密に茂っているということは虫にとって住みやすい環境になるということになります。また虫だけでなく、カビなどの菌が住み着いたり、病気の温床になることもあります。

葉が密に茂っているということは、言ってみれば外の環境の変化から守られやすく、比較的安定した状態になるということです。雨・風は防がれ、太陽の強い光は和らげられ、空気は一定の温度で保たれ、換気もあまりされない状態。

これでは病気になってしまうのも無理ありません。ということで、次の画像のような形を目指して選定していきます。

オレンジ色のラインで囲んだくらいの大きさに抑えたいです。側面はそこまで難しいくないと思いますが、てっぺんの先端のあたりが難しそうに感じます。先端は真ん中の幹の部分が一番高くなるようにしたいのです。

2021年の剪定でどの程度できるか、あまり大きな負担にならないように進めようと考えています。

剪定で気をつけていること

私はプロではないので間違いはあるのかも知れませんが、次のことを気をつけて剪定するようにしています。

剪定する時期は適期とされる時期であること

植物の種類によって剪定するのにふさわしい時期というのがあります。樹木は大きく分けて二つの種類、常緑樹と落葉樹があります。常緑樹は冬でも葉を落とさないもの。落葉樹は冬になると葉を落とすものです。

どの樹木でも冬は葉がない方が良いと考えて剪定してしまうと、木にダメージを与えてしまうことになります。常緑樹の葉は、冬でも光合成によって栄養を作り出していたり、冬を乗り切るための栄養を蓄えていたりします。この葉を冬に切ってしまうと、常緑樹は生きていくための栄養が不足してしまう事態に陥る場合があります。

一方で落葉樹は、冬の間は活動を止め、休眠しているような状態になります。落葉樹にとって剪定のダメージが少ないのはこの時です。

またこれ以外にも、その植物の種類によって適期というものがありますので、必ずインターネットで検索してから剪定時期を決めるようにしています。

ダメージを受けにくいように

また、いくら剪定の適期だからといっても、切りすぎたりすぎることはよくありません。例えばこれから沢山の葉が出てくることにな春から夏にかけては、確かに植物が成長しやすい気温ですが、成長のための栄養を作るのは葉による光合成が欠かせませんし、葉を切りすぎることによって直射日光が幹や枝に当たりやすくなり、木にダメージを与えてしまうかも知れません。

冬もそうです。常緑樹の葉を切ってしまうと栄養源が失われるだけでなく、風を防ぐ能力が損なわれ、より低温に晒されてしまうことにもなりかねません。

2021年の剪定

葉が出はじめる初春頃に、ある程度葉を残しつつの強剪定をやろうと思っていますので乞うご期待。

2021年3月17日の剪定

まず、ビフォアーから。剪定前の画像です。

切る前

次に切った後。少し画角が違います。

切った後

さらにスカスカな状態になっていまいました。ちょっと心配ですが、これから暖かくなるだけなので、ぐんぐんと新芽を出してくれることを期待しています。

本当はもっと切りたいのですが、また様子を見ながら考えることにします。

2021年5月30日

だいぶ緑が増えました。よかったよかった。この間、株元の草を抜いたり移植したりしてスッキリさせました。この、根元が草で覆われているのが、実は病気の元だったのではないか、なんて思っています。

以前はよくみられた、葉が黒く変色してしまう病気もほとんど見られません。

強剪定後はほとんど何もしてませんが、葉が混み合ってきたら手で適宜軽い剪定をしていく予定です。

このモチノキ 、常緑樹なので株元は1年中を通した日陰を作ってくれます。夏は陰で涼しく、冬は霜除に。

都会では常緑樹のように集合住宅が密集しているので日陰よりも日当たりを探すのが大変でしょうが、当地のような田舎だと、土地の端っこのような場所にしか日陰がなく、こういう常緑樹が中心にあると重宝する、ということにようやく気づきました。

株の根本は少しスッキリさせて風通しを良くしました

2021年6月30日

もっともっと茂って欲しいですが、蒸れを防ぐために多少手でちぎり剪定しています。そのせいなのか、それとも成長が滞ってしまっているのか、前回の画像と比べるとボリュームが落ちたように感じてしまいますが、画角の問題なのだとおもいます、おそらく。

2021年10月23日

2018年の画像と同じような画角で撮ってみました。まずは2018年の様子。

2018年に撮ったものです

次に、2021年の10月23日の様子。

2021年10月23日に撮影したもの

この二枚を比べてもらうと、剪定でかなり小さくなったことがわかると思います。モチノキ は木に登って剪定できますし、剪定への耐性がかなり強いようなので、こんな感じで大きさを調整することができました。

今年は、今月中にもう少しだけ剪定して終わりにしようと思います

2022年3月下旬

この冬は寒気がかなり強かったのですが、難なく乗り越えてくれたようです。で、まだ剪定の時期ではないのですがずっと気になっていた部分があったので、その一部だけ切ってしまうことにしました。

適期である5月まで待てばいいのでしょうが、葉が生い茂ってくる前の今の時期に幹のバランスを見てカットしたかったんですよね。ということで、先端から脇に出ている極太の枝とのこぎりで切り落としました。

矢印のところを切り落とします
カット後

カットした後はもちろん癒合剤のトップジン・Mペースト塗ってあります。スマホ片手に木のてっぺんにいたもんで、トップジン・mペーストたらしてしまっています。

木のてっぺん感がないですね

やはり先端はなるべく小さく収まっているのが好みなので、こんな感じで。枝といっても直径8cmくらいはあったと思います。切れるのこぎりがあってよかった。

2022年5月2日頃 ようやく普通の剪定ができた気がします

2020年から2021年と、全体を小さくする強剪定をやってきました。木の幹や枝が剥き出しでずっと痛々しい姿でしたが、今回、ようやく通常の剪定ができたような気がします。

今回の剪定は、梅雨に向けての透かし剪定です。病気になったり害虫が多量にとりつかないように、風通しよく剪定します。

剪定前
剪定後

剪定後を別角度から

剪定後別角度から

別角度から見ると、まだちょっと形が良くないですが、この辺りは秋が来てからの剪定になるかな、という感じです。