「堆肥をすき込んで、植え付けてください」
野菜、草花や庭木を植え付けようとネットや本を調べると、こんな言葉を目にすることはありませんか? 堆肥を混ぜれば良いのだなとホームセンターに行ったものの、堆肥と言われるものは牛糞や鶏糞、バークとかやたらと種類があってどれでもいいのやら、相応しいのがあるのかやら、分からなくなってしまうことありませんか?
今回は堆肥について解説したいと思います。
堆肥とは何?
そもそも堆肥ってなんなのでしょう? 栄養がありそうな土のことかしら? 栄養がありそうな土だとしたら、肥料とはどう違うのだろう?
とまあ、ここまで推測で語ってしまいましたが、しっかり見ていきましょう。
堆肥(たいひ)とは、易分解性有機物が微生物によって完全に分解された肥料のこと。有機資材(有機肥料)と同義で用いられる場合もあるが、有機資材は易分解性有機物が未分解の有機物残渣も含むのに対し、堆肥は易分解性有機物が完全に分解したものを指す。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
易分解性有機物とは
易分解性有機物はイブンカイセイユウキブツ、と読みます。つまり分解が易しい有機物、分解しやすい有機物のことです。
有機物とは
有機物とは有機化合物のことで、炭素を含む化合物で、二酸化炭素など単純なものを除いたものを言うそうです。この炭素と結びついた物質というのは、生物の体内で作られたものを指すようです。動物であればその身体や排泄物、植物であれば幹や葉が有機物です。これ以上はちょっと難しくなるので、詳しく知りたい方は調べてみてください。今では科学の発展で人工的に有機物を作ることができるようになっています。
易分解性有機物が微生物に分解されるとどうなるのか
微生物とは何か
「微」とあるように、ごく小さな生き物のことです。大きさでしか区分されていないため、様々な種類を生物を含みます。細菌やキノコ、カビなんかが含まれます。
微生物が易分解性有機物を食べると分解される
そしてこの微生物たちが食べられるのが易分解性有機物という分解しやすい有機物なのです。そのように分解されるかは難しい話になってしまうので割愛します。ただ多様な種類の微生物が、それぞれ分解しやすい時に活発に活動します。ある微生物が分解生成されたものを、別の微生物がそれを分解していく。この、分解されていく過程を発酵と言い、熱やガスなどを発生させながら分解が進んでいきます。
堆肥、完熟であることが重要である理由
完熟とは、植物に問題ない状態まで発酵・分解が進んだ状態
野菜、草花や植木を植え付ける時に使う堆肥は、必ず「完熟」のもを使うこと、とあり、完熟であることが強調されています。完熟である堆肥は、発酵・分解が完全に進みいき尽くしている必要はなく、これを土壌に混ぜても問題ない状態であるというのが一般的な捉え方のようです。
未熟な堆肥を使うと、植物の根に悪影響を及ぼす
未熟な堆肥は、まだ分解されていない易分解性有機物が多く含まれており、これが土壌中の微生物による急激な分解が起き熱やガスが生じてしまったり、病原微生物が活性化してしまったりと植物に障害をもたらすことがあります。
必ず完熟堆肥を使いましょう。
堆肥を使う理由
堆肥は土の状態を良くするもの
堆肥は肥料とは違います。肥料は植物に必要な栄養分のことですが、堆肥はそうではありません。堆肥の主な効果は、土の状態をよくすること。堆肥を混ぜ込むことで、土がふかふかになり、通気性、水もち・水はけが良くなり、また良い微生物が土壌中に増え、土壌中に肥料を留めやすくなり、植物にとって良い環境になります。また、堆肥の種類によっては肥料効果のあるものもあります。
最後に堆肥の種類を紹介
植物性堆肥
植物性堆肥は、繊維質が豊富なので、土壌の改良効果が大きいです
腐葉土
腐葉土は「土」という名ですが、堆肥の一つです。枝や落ち葉を発酵させたもので、肥料分が少ないため、土の通気性、水はけ・水もちを改良したい場合には重宝します。
バーク堆肥
バークとは樹皮のこと。腐葉土の「葉」に比べると、厚みがあり、多孔質なので、より通気性、水持ち・水捌けに優れており、また効果の持続性も長いです。
動物性堆肥
植物性対比と比べて繊維質が少ないので土壌の改良効果は小さいですが、栄養分は豊富に含むため肥料として使われることが多いです。
鶏糞堆肥(発酵鶏糞)
まず鶏糞は、それが完熟であるか否かに気を付けなければいけません。鶏糞には「乾燥鶏糞」なるものもあって、しっかり確認する必要があります。
鶏糞堆肥にはチッ素・リン酸・カリの三要素が多く含まれ、肥料としての効果もあります。効果が出るのが早い反面、効果が消えるのも早いです。また、鶏糞はアルカリ性が強いため酸性を好む植物には向きません。
牛糞堆肥
鶏糞堆肥比べると栄養分は少ないですが、ゆっくりと長く肥料の効果が続きます。
牛はわらなどの植物性の食物を食べるため繊維質に富んでいるため、植物性の堆肥ほどではないにせよ土壌の改良効果もあります。