家の塀沿いに目隠しになるような植物を植えたい。しかし、根張りの強いものは植えたくない。さらにいえば常緑のものがいい。
そんなふうに考えて、一体何を植えればいいのやらと考え始めたのがいつだったでしょうか。もちろん常に考えていたわけではありませんが、2021年の春が近づいてきた頃に「立性のローズマリーを植えよう!」と決めたのでした。
そんな立性のローズマリーの成長記録を紹介します。
立性(たちせい)と這性(はいせい)の違い
ローズマリー に限りませんが、植物はその成長していく様子の違いで、立性(たちせい)と這性(はいせい)という2つに分けられることがあります。特に同じ品種同士ですと、この立性と這性で細かい品種を区別する特徴にすることがあります。
ちなみに立性を「りっせい」と読むこともあるようですが、ここでは「たちせい」という読み方で統一します。
どちらも書いた字の如くの育ち方をするのですが、解説も。
立性とは
立性とはその字の通り、立つやつです。つまり立ち上がる方向、上へと伸びていくもののことを指します。この立性の植物の方が圧倒的に多いでしょう。
這性とは
這性とはその字の通り、地面を這うように育つもののことを指します。匍匐性(ほふくせい)ということもあります。この這性をいう特徴を持つ植物は、その名前の中にすでに這性という意味の言葉が含まれていることがあります。
それはクリーピングです。「クリーピングタイム」はよく知られた植物の名前ですが、これは日本語に直すと「這性タイム」ということになります。creepという単語が「這う、絡みつく」という意味をもっています。
ちなみ余談ですが、RadioHeadの曲の一つに『Creep』がありますが、これは「這う」という意味ではなくて「気持ち悪い奴」という意味もあって、そちらで使っているようです。また、自動車の「クリープ現象」は「のろのろ進む」という意味で使っています。creepは様々な意味を持つ言葉のようです。
立性ローズマリー8種の性質
今回の立性ローズマリー8種は「ハーブショップSORAMIMI」さんで購入しました。
立性のローズマリーはどの種類も大きくなると200cmくらいになるようです。
ゴリジアローズマリー
- 薄い紫色の花をたくさん咲かせる
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 日当たり良く乾燥気味に育てる
- 耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
- 耐寒性は、強いローズマリーに比べると若干劣る
- 葉が大きく、成長も早く、大ぶりになる
セイレム(セーラム)ローズマリー
- 濃い目の青紫色の花を咲かせる
- 寒いと葉が赤く色づく
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 日当たり良く乾燥気味に育てる
- 耐寒性、耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
- 葉が大きく、成長も早い
ミスジェサップローズマリー
- 薄いブルーの花を咲かせる
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 日当たり良く乾燥気味に育てる
- 耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
- 耐寒性はかなり強い
ファーノーハーディーローズマリー
- 濃いブルーの花を咲かせる
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 日当たり良く乾燥気味に育てる
- 耐寒性、耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
シシングハーストローズマリー
- 薄いブルーの花を咲かせる
- やや細身の株立ちになる
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 日当たり良く乾燥気味に育てる
- 耐寒性、耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
ドワーフブルーローズマリー
- 透明感のある濃いブルーの花を咲かせる
- 葉が小さく細身の株立ちになる
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 耐寒性、耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
リリーズブルーローズマリー
- 上品な薄紫色の花を咲かせる
- 細身で長い葉で、成長早く、形良く育つ
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 耐寒性、耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
アープローズマリー
- 白に近い薄紫色の花を咲かせる
- 日当たり良く水はけの良い土壌(アルカリ性ぎみ)で乾燥気味に育てる
- 日当たり良く乾燥気味に育てる
- 耐暑性に強いが、過湿に弱いので気をつける
- 耐寒性おそらく最も強い(−20度まで耐えるとも言われている)
成長記録
2021年3月9日、植え付け
こんな感じの並びで植え付けました。土は畑から持ってきた土と腐葉土、苦土石灰を混ぜたものを10日ほど寝かせてから使用。
株間は40cmほどなので、ちょっと近いかもしれませんが、目隠しとなることを考えるとこんなものなのではと思っています。
祠(ほこら)があるのでそこを囲むようにローズマリーを植えました。神様、ローズマリーが苦手でなければいいですが。ちなみにもともと祠両サイドにツツジがあります。
セイレムとごりジアを植えたところですが、これは短い土管なんでしょうかね、うちに敷地の隅に放置されていたのを利用しました。転がしながらこの場所まで持ってきたのですが、倒したら起こすことができないくらい重さでした。高さが50cmくらい。ドカンなので底がありませんがこの中に土を入れ、ゴリジアとセイレムを植え付けました。この二つは成長が早いということなので、隣のアパートの目隠しになってくれればと思っています。
残りのローズマリーは、気分で植え場所を決めた感じです。寒さに強いアープを一番端にしたくらいですかね、意識したのは。
まだ3月なので、寒さが怖かったので藁(ワラ)でマルチングしました。4月に入ったら藁は取り除いてしまおうかと考えています。そしてまた梅雨が明けたくらいの頃に日照り対策で藁を敷こうかと考えています。
2021年6月16日
期待ほど大きくなっていませんが、植え付け当初の小ささを見返してみると、順調に育っているようです。また、品種によって成長の度合いに差が出始めています。
まずは全体の様子から。右から順に上げていくと、
- ゴリジア
- セイレム(セーラム)
- ミスジェサップ
- ファーノーハーディー
- シシングハースト
- ドワーフブルー
- リリーズブルー
- アープ
の8種になります。
ゴリジアローズマリーから。
セイレムローズマリー。一緒に植えているのは、ルブス・サンシャインスプレーダーです。
ミスジェサップローズマリー 。
ファーノーハーディーローズマリー 。
シシングハーストローズマリー。
ドワーフブルーローズマリー。8株の中では一番貧弱な印象です。場所が合わないのかなあ。
リリーズブルーローズマリー。8株の中で、これまでの期間で一番大きく成長した気がします。
アープローズマリー。
2021年7月29日
種類によって成長の差は見られますが、とりあえずは問題なく育っている、感じはします。ちょっと心配なのはドワーフブルーローズマリー です。
それからゴリジアとセイレムの間に植えていたルブス・サンシャインスプレーダーは、生育が旺盛すぎて蒸れの原因になりそうだったので、梅雨入り前後くらいに移植しました。移植先はここより広い場所なので、すぐに伸び伸びしています。
右から順に
- ゴリジア
- セイレム(セーラム)
- ミスジェサップ
- ファーノーハーディー
- シシングハースト
- ドワーフブルー
- リリーズブルー
- アープ
になります。
2021年10月20日、リリーズブルーが枯れていることに気づく
ローズマリーにとってかなりきついであろう高温多湿の夏も終わり、元気に大きく育ってくる頃だろう、そう思いきや、逆に枯れている株がありました。それもたった一つ、リリーズブルーだけ。
おそらくは、夏に受けたダメージがここにきて目に見えるように現れてきたのかなと思いますが、いちばんの原因は蒸れなんだろう思います。全体の画像を見ても分かる通り、大きくなったため株間も近く密になってきています。
と言うことで近々、この場所をリフォームしてゆとりを持った株間に植えなおそうと思います。
2021年11月10日、リフォームと移植
まずこの場所、内神様の両脇にうわっていたサツキを抜き取ってしまいました。このサツキ、もともと違う場所にあったのを、処分するのも忍びなくこの場所へ移植したのですが、病気がちで葉色が悪かったので、ここで思い切って処分することにしました。
そしてそのサツキがあった場所の土をざっくりと入れ替えました。酸性度を好むツツジ科のサツキとは真逆で、ローズマリーは酸性に傾いた土を嫌います。ということで、ざっくりとできるだけの範囲で土を入れ替えました。そもそもサツキとローズマリーを同じ場所に植えていたことが大きな間違いの一つでした。
こうして新しくできたスペースに移植していくわけですが、あまり元気がなさそうな株を中心に移植しました。できるだけ根を触りたくないからのなのですが、株間が近いためにどうしても移植しない組の株の根っこも多少切ってしまうことになりました。ですが、その悪影響よりも株間が広くなることの好影響の方が大きく左右すると信じてサクッと実行しました。
画像のような感じでローズマリーに囲まれた内神さまになりました。改めて、右から。
2022年2月7日、寒さに強いはずのアープが枯れてきた
関東の平野部は乾燥が強く、また当地は1日の寒暖差もかなりあります。最高気温がだいたい東京都内と同じくらい(8度くらいでしょうか)なのですが、最低気温は5度くらいは低く(氷点下5度くらい)なります。
そういったことも影響しているのでしょうか。おそらくうちのローズマリーの中ではもっとも寒さに強いであろうアープローズマリーが枯れ始めてしまいました。原因は想像するしかなく、先に挙げたような気候が合わなかったのか。。
今の時期は何もしてあげられないので、このまま様子見で、春の復活に期待するしかありません。
右から順に、ゴリジア、ミスジェサップ、シシングハースト、ファーノーハーディー、セイレム、リリーズブルー、ドワーフブルー、アープと画像載せていきます。
シシングハースト、ファーノーハーディー、セイレムあたりは乾き切った色をしているし、触るとだいぶカサついているのですが、アープのようには葉は落ちませんでした。
どうしたんでしょう、耐寒性抜群のアープ、土が良くないかなあ。。
2022年4月6日、冬越しの反省
この時期のローズマリー って、どんな状態なのが一般的なのでしょうか。少なくとも当地のローズマリー はほぼ枯れています。春が来てますが、枯れ姿のままです。もう少し暖かくなると、新芽が出てくるのかもしれませんが、冬の寒さ対策を全くやらなかったことは、おそらくよくなかったのではないかと思います。当地では土が凍るくらいになるので、せめてマルチングはすべきだったなと。
ただ、移植した影響もかなり合ったのではないかと思います。移植した株、またその隣にいた株も、根にダメージがあったことは考えられます。ただ、その移植も、枯れ込んできたから実行したのであるので、止むを得ない面はありました。
この後どうなっていくのかわかりませんが、復活してくることを前提に、まずは梅雨入り前までに水はけをよくするリフォームをやりたいと考えています。
右から左への順、ゴリジア、ミスジェサップ、シシングハースト、ファーノーハーディー、セイレム、リリーズブルー、ドワーフブルー、アープと画像載せていきます。
2022年5月7日 アープ逝く
アープローズマリー、完全に息絶えてしまったようなので抜きました。。んー、何が原因なんでしょうか。放任していたため、生育の悪い要因が思いつきません。最も耐寒性の強い品種の一つとのことでしたが、冬の間に枯れてしまっているのでうちの畑が適応環境から外れた状態になっていたのでしょう。
8種あったローズマリー が7種になりました。
2022年7月中旬 シシングハースト移植
元気がないシシングハースト。そもそもはここに植えたローズマリーたちは生垣にしたくての植栽だったのに、その丈には到底及んでないどころか、失敗に終わってしまいそうな気配が。。。ということで、移植することにしました。
で、移植したのですが、こんな真夏の入り口の時期の移植はやるべきではなかったと後悔。
2022年10月、シシングハーストは逝き、残された6種は大きく
真夏に移植したシシングハーストは当然のように枯れてしまい、残すは6種となっていまいました。
しかしその残されたモノたちは少しづつ大きくなり、生垣の役目を果たせるのかもしれないという感じになってきました。とはいえ、全て樹高は1mに満たないので、早く高くなってくれることを願います。
2023年1月25日
この日の前々日に、大寒波がやってきて雪が降ったのですが、とてもとても元気そうに見えます。雪が降ったとはいえ、他の日は基本的に晴天で乾燥しているので、その環境が合っているのでしょう。植え付けて2年近く経つので、寒さに耐えられるだけの強さを身につけたことがいちばんの要因かもしれません。
2023年1月から3月までの様子
枯れ込んでいる株もありますが、冬越し難なく。3月に入り、ミスジェサップとリリーズブルーが開花しました。
ミスジェサップ花
2023年4月から6月、花つきには大きな差が
花つきに大きな差が出ていますが、以前移植したときに根を触ってしまったものはあまり開花していないような感じがします。ミスジェサップとリリーズブルーは最初の植え付け時から根に触れるようなことがほぼなかったのですが、隣に有る株を掘り起こしたゴリジア、ファーノーハーディーは根に触れてしまったので、移植組のセイレム、ドワーフブルーと同じようにポツポと咲かす程度になってしまった。のではないかと思います。
冬に傷んだ株も綺麗なグリーンに変わっています。